| 「両手いっぱいの言葉」 |
|
|
寺山修司の著作から集められた413言が収められた本です。 愛や人生、真実など、52のキーワードの下編集されています。 言い換えれば寺山修司語録。寺山修司ポケット辞書。 といったところでしょうか。 言葉 言葉 言葉 日本人なら日本語で言葉を話す事ができる。 言葉を話せる人は沢山いるが、 言葉を使いこなせる人はどれだけいる事だろう? 文法としてだけではなく、生き方としても。 言葉の持つ力を信じて私は本を読む。 もっと心揺さぶられる言葉を食べたい。 これを読む人がどう感じるかは分からないが、 私の棘に引っかかった言葉を少し書いてみたい。
はじめてのキスというのは、人生への参加をゆるされるパスポートを思わせる。 すべては「くちびる」からはじまるのだ。 はじめに言葉ありき、と言うとき、ことばはくちびるからはじまるし、 愛もキスもまたくちびるからはじまる。 ー愛さないの愛せないのー
猫と女は呼ぶと逃げ、呼ばないとすりよってくると言うが、 運命もまた、こっちが冷たくすると機嫌とりにやってきて、 こっちがしつこく追いまわすと遠ざかってしまうのである。 ーさかさま世界史ー
人は1体二百年生きねばならぬとしたら何をなすだろうか。 延ばされた天寿に比例して青春もまた倍増されるのでないとしたら 「二百年」はむしろ罰としてしか意味をもたぬということになるだろう。 ー黄金時代ー
人間のエゴイズムを全てうけ入れながら、いつも言いなりになり、 ときどき自然に向かって「帰ろうかな」と思っている犬のやさしさは、 飼いならされた男たち、家路をいそぐパパたちにもつながるさみしさを思わせるだろう。 生きるかぎり、人もまた見えない首輪をはずすことなどできないのである。 ー不思議図書館ー
悪口を言われっぱなしでいる倣岸さは、けっきょくだれにも 「悪口をいわれないような、つまらぬ奴」になってゆく危険があります。 しかし現代にあって、人に悪口をいわれぬような人とは、おそらく無能な人であろう、 というのが私の推理であります。 ー家出のすすめー
ぐちを言っている女の子が美しく見えたなんて事は一度もありません。 本当に物事の仕組みを考え、その矛盾を追及しようという女の子と、 物事がうまくいかないのはいつも何かのせいだと思ってぐちを言っている女の子とは 根本的に違うことを知るべきでしょう。 ぼくは、こんなことってあるのかな?と物事を素直にうけとめ、 ほほえみで応えられるような強さを持った女の子が好きです。 つまり、それが、やさしさというものの本質だからです。 ーぼくが狼だった頃ー
かつて「性」が人の口に乗る事がタブーだった頃、 性は二人にとっての「荒野」として存在していた。 そして、そこだけが理性によらぬ「二人だけの、煩悶の解決法」であった。 しかし、いまではこの荒野も文化のトラクターですっかり平らにされてしまい、 人は何事にも馴れてしまった。 ー映写技師を撃てー
「人間は、中途半端な死体として生まれてきて、一生かかって完全な死体になるんだ」 ー映画「百年の孤独」-
戯曲の中にももっといい言葉がいっぱいあるんだけどな・・・ あんまり載ってなかったです。この本に選ばれていたものはやわらかいものが多かも。 寺山作品にはじめて触れる人にはあまり向かないかもしれない。 でも何か感じるものはありませんか? 面白いのは、その時の心情によって引っかかる言葉が違ってくると言う事。 きっと読み直す毎に、違う言葉が引っかかってくるのだろう。 それがその時の自分に不足している言葉なのだ。
| |
|
11月12日(土)01:05 | コメント(0) | 読書 | 管理
|
| 快楽主義の哲学 |
|
|
教科書じゃない本を読む時間ができたので、好きな本を読みはじめる。 澁澤龍彦の「快楽主義の哲学」でございます。
泰平ムードになんかのまれるな!幸福と快楽は違います。 主観的で持続的、保守的な幸福など何が楽しい? 人生に目的などありはしないのです。 もっと動物的に絶対の快楽に身をゆだねたまえ。 たとえ一瞬であろうとも刺激的で強烈な快楽を獲得せよ。 苦痛の回避ではなく、積極的に欲望を満たしてこそ人間だ。
という何とも偏った人生論であります。 中間でふわふわしている状態よりも、 極を愛する私にはたまらない論題です。
快楽と聞けば性的オルガスムがトップに立つのは言うまでもありません。 もちろんそれだけのことについて書いてある本ではありませんが、 澁澤さんはサドの翻訳家で有名なお方ですから、 その辺の論述は他の追随を許さないものがございますわね。 しかし「いやらしさ」というものが一切感じられないのです。 哲学的、生物学的視点で語られるからでしょうか。 文学、学問としてさらさらと水のように流れ込んでくるんですね。 淡々としていてコミカルでドライなんですの。
話は情死からデュロニュソス、東洋も西洋も何でも来い。 更に歴史的文豪だろうがバッサバッサ切り捨てる。 そこがまたニヤリとしてしまうポイントなのですわ。 でもね、全くの批判じゃないの。愛着を持って叩いている感じ。 それが読んでてとても気持ちいいのね。 私は幸福論の否定で結構目からウロコになりました。 論点は最初から最後まで変わらず、まあ同道めぐって結ばれるのですが 引用される物語や人物も生き生きとして退屈しない1冊でした。 日々の生活に退屈している人には是非お勧めしたい。
流行を追わず、一匹狼も辞さず、世間の誤解も恐れず、精神の貴族たれ。 人並みの凡庸ではなく孤高の異端たれ。(裏書より)
| |
|
9月25日(日)00:48 | コメント(0) | 読書 | 管理
|